業務フローの帳簿を作成する方法


業務フローの設計はビジネスにおいて基本中の基本と言えるでしょう。新企画の提案から備品の購入まで、それぞれのタスクがどういった過程を経ていくのかを決めるのはどの仕事においても必須です。仕事に一貫性を作り、効率性向上にも繋がります。

では、業務フローにおいてなぜ帳簿が必要でしょうか?帳簿があればそれぞれの業務フローの履歴を確認し、そのデータで効果的な経営をサポートします。この記事では業務フローの帳簿において必要なもの、作成方法、メリット、そして導入・運用における課題と解決方法について説明していきます。

1. 帳簿は業務フローとどう関連している?なぜ必要?

業務フローのための帳簿について

帳簿はそれぞれの業務フローにおいて、様々な要素の記録を残すためにあります。

例えば、営業関連の業務フローを考えます。営業担当者が幾つかのリードとの商談の約束を取り、その商談から何社かが受注までいきます。この流れ(業務フロー)の中で、どの会社といつ商談するのか、その商談の結果などを報告し、記録を残します。

これらの報告内容を帳簿にまとめれば分析し、どこに問題があるか、あるいは伸びようがあるかを発見し、課題解決に取り組めます。このように帳簿が効果的な経営をサポートします。

業務フローのための帳簿の必要性

帳簿と言えば、まず会計帳簿を思いつくでしょうが、帳簿の応用法は備品購入や会計管理など、財務関連の業務にだけではありません。

上述のような営業指標の他に様々な経営指標を帳簿のデータから計算することができます。例えば、福利厚生などの人件費、オフィスの家賃、備品の購入などの様々な出費を分析し、より効率的な経営管理を目指すこともできます。

そして、そのデータが競争において何よりの武器です。客観的なデータがなければ人の主観的な感覚に頼った経営判断しかできず、正しい経営判断を下す確率が下がり、競争相手より経営力が劣ります。

始まりつつあるインフレ経済や人口減少といったビジネス及び社会的課題を直面した際に様々な側面で競争が激化していきます。その際はあなたのビジネスの競争力を高めるのも必須でしょう。

2. 帳簿をどうやって作る?

前述の帳簿の応用法からして帳簿に含まれないといけない基本的な情報は想像がつくでしょう。以下では一般的な必須項目を羅列し、特定の業務において別途必須となる項目についても説明します。

一般的な必須項目

遂行者

  • 業務を行った人を把握するのは基本中の基本でしょう。また、ある業務に関して相談やフィードバックがある場合、誰と話さないといけないかすぐわかります。
  • 部署、セクションなどの情報も含めると、人の多い大きな組織や同じ名前のある人を区別する上で役立ちます。

遂行日時

  • その遂行者がいつその業務を行ったかも大事です。特に反復して行われる業務(例えば週次活動報告書)の場合、どの回の業務だったかを特定するのにこの項目は必須です。
  • この項目は、正確な時間を記録することは難しいですが、ワークフローアプリなどの電子システムがあれば精密かつ簡単に記録することができます。

承認者

  • 各種申請、備品購入、計画の提案などにおいてその業務内容を承認し「記載の内容で業務を進めて良い」と判断を下す者がいます。承認者を帳簿に登録することでその責任を見える化し、その業務における報連相の構造を明確にし効率性向上にも貢献します。

承認日時

  • 承認者がその業務を承認した日時。これは「承認」だけでなくただの「確認しましたよ」というマークとして機能することも可能であり、業務フローの内容が承認者に対して何かの行動を求める場合は「業務を遂行しましたよ」というマークとしても機能することが可能です。
  • 遂行日時と同様、正確な時間まで記録することは難しいですが、ワークフローアプリなどの電子システムによって簡単になります。

進行状況

  • この項目は必須項目の中で一番か二番に大事かもしれません。管理職の人が帳簿内容を確認する際、どの業務が進行中なのかそしてどれぐらい進んでいるか、どの業務がすでに終わっているが、どの業務が滞っているかを知る必要があります。
  • これに付随して「最新更新日時」を付け加えるのもありです。例えば、営業において見込み顧客から連絡の返信が遅いところと、フォローアップが必要なところを可視化します。

業務内容

  • この項目は必須項目の中で恐らく最も大事な項目です。管理職の人が帳簿内容を確認する際、それぞれの業務の進行状況だけでなく、その業務の大まかな内容を知ってこそ管轄分野の現状把握が成り立ちます。申請書の場合は申請者が何を申請しているか、提案書・稟議書の場合は何が提案・稟議されているか、報告書の場合はその報告の大まかな内容など、このデータこそが核となっています。
  • 上手く体系化している業務フローはこの業務内容を簡単かつ素早く把握することができるでしょう。

メモ・コメント

  • 業務を遂行した人が帳簿にメモを残すことができる場合、帳簿の型にハマらない大事な情報や備考、承認者に対する詳細な要求など、その業務をより的確に把握上で必要な情報が残ります。

特定業務に合わせた必須項目

それぞれの業務に合わせてある程度必須記録項目を選別する必要があります。それぞれの帳簿を作成する際は、帳簿を使う人のことを考え、いつ、なんの情報を探しているのかを考慮し帳簿を作ります。

また、帳簿の類のものは監査役にもよく使われます。よくできている帳簿については法務部、コンプライアンス、社内監査役などに聞いてみると、監査の際にどうしたらスムーズに進めることができるかがわかります。

以下では幾つか想定する必須項目をリストアップしました。

  • (備品購入及び請求の関連業務)購入品名、個数、総額、購入の理由
    • これらの項目は実務を行う上で必ず必要ですし、経営者にとっても必要です。
  • (提案書・申請書など)提案もしくは申請内容の要約
    • 経営者が帳簿を見た際にすぐに今までの状況を把握できるように要約が必要です。
  • (契約書関連)取引先の情報
    • 契約管理やコンプライアンスのため、取引先の企業名、取引内容と総額などの情報が、契約書関連の業務フローにおいて記録が必要な項目でしょう。

そして、帳簿に何を記録すべきかわからない場合は実際に使うであろう管理職の人たちに相談するといいでしょう。「こんなデータがあったらいいな」などの、実際のユーザーからのフィードバックが何よりの宝です。

3. 帳簿のメリット

上にも多少触れていますが、帳簿には企業の競争力をアップする様々なメリットがあります。

  • 見える化による業務効率性の改善
  • 監査・法務・コンプライアンスのための記録
  • データドリブンな意思決定

以下ではもう少し説明しつつ例も挙げていきます。

見える化による業務効率性の改善

上で既に結構触れていますが、帳簿は業務の様々な側面を「見える化」し、ある業務を俯瞰した観点を提供する道具です。帳簿のデータを用いて集計や分析を行い、いつでも現状が見える状態にすることでいつでも業務プロセスにおける問題点を発見し、共通した問題意識をもって解決に取り組めます。

例えば、見込み顧客との商談の約束を取った際に業務を設ければ、受注して顧客となった割合とその母数、そしてマーケティングデータとも合わせて商談の約束を取った割合とその母数などをいつでも把握し、営業活動においてどこがネックになっているか、どの部分に力と改善が必要なのかをすぐに把握できます。

このように帳簿が見える化を促進し、業務効率性の改善に繋がります。

コンプライアンスのための記録

コンプライアンスでは、証拠として機能する様々な記録を監査員に提供する必要があります。

例えば、十分に手順を踏んで意思決定を行っているかを証明するには、その判断に使った材料や、ディスカッションの議事録などを使います。これらの資料が帳簿にきれいに整っていると監査員が来た際に監査がスムーズに進みます。

データドリブンな意思決定

データドリブンな意思決定とは、経営者が感覚や感情で感じ取った現状ではなく、実際のデータで現状を把握し、それを踏まえた意思決定を行うことを指します。

帳簿でそれぞれの業務プロセスに関するデータを記録し、集計や分析によって正しく現状を把握することができます。そして、客観性のあるデータなため、経営者だけでなく、誰が見ても同じ現状を認識し、同じ問題を発見した上で対策に取り組め、より強力な一体感で行動に移ります。

4. 帳簿の導入・運用における課題とその解決方法

帳簿を導入・運用するにあたって幾つかの課題に直面するでしょう。それらの課題を紹介し、解決方法も紹介していきます。

運用は手間がかかる

まず帳簿の運用には必ず誰かがその入力情報とその情報の共有状態を管理しないといけないため、その分手間がかかります。

業務フローと関連する提出書類の受領、整理、内容の記録などはかなりの手間がかかります。そのため、手作業なんて考えられず、デジタル手法を用いて運用することをお勧めします。

しかし、デジタル手法をもってしても効率的と非効率的な手法があります。

非効率的な手法の例は紙の書類を受領し、その内容を手動で帳簿に登録し、更新することです。これには時間という費用と、紙、印刷に使うインクなどの備品の費用があります。また、このような手法はまだ提出されていない作成中の書類を記録しないため、一部の業務の現状把握はできていません。

効率的な手法の例は、電子システムを用いて書類の受領、種類の識別、整理、登録内容の自動記録、未提出書類の追跡など、帳簿管理の大部分を自動化することです。帳簿に費やす備品、人件費なども考えると電子システムはより魅力的に見られます。また、近年ではウェブやクラウドを通して提供されるSaaSアプリもあり、月額購読でお手頃な価格で使えます。

事務が増える

業務プロセスの全てを記録し、追跡したいなら、必ずその記録を作成する事務をしないといけません。

これらの活動は、備品購入の申請や企画提案書などの場合は元々あったものですが、一部の分野において新しく情報収集を始めるにはその情報を該当業務の担当者が登録する必要ができてしまいます。

この新しい負担を減らすには、各種書類のテンプレートを活用すると良いでしょう。テンプレートでは、ある書類の形を事前に決め、業務遂行者がそのテンプレートに設ける空欄に情報を記入するだけで書類ができあがります。

テンプレートを活用するとテンプレート自体の在庫管理などの運用負担が増える可能性がありますが、ワークフローアプリなどのツールがまたこの課題を解決します。多くのワークフローアプリはカスタマイズ可能なテンプレート機能を提供しており、各種書類の管理を簡略化します。また、テンプレートを帳簿と繋げることでテンプレートを使って作成された書類の内容が自動的に帳簿に追加され、更新されるようにも設計できます。

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過去の記録を統合するのは困難

帳簿を活用したいけど多くの過去データを整理するのは荷が重いという悩みもあります。この場合は確かに形式がバラバラで時には登録情報がバージョンをかけて変わることがあり、また紙媒体も混同しているとそのデータをデジタル化するのは負担です。

しかし、最近では生成AI(人工知能)が顕在化しており、これらの作業をも自動化できます。紙媒体のデータの写真もしくはスキャンを取ればOCR(光学文字認識)技術でその画像からデータを読み取り、好きな形で整理して帳簿として出力することができます。ある項目が書類の一つのバージョンにあったけどもう一つのバージョンになかった場合、データのミスマッチを回避するためにどう整理したいかを生成AIに指示すればその指示通りに整理してくれます。

また、生成AIはコードが必要なく人と話しているように指示を出しても理解してくれるため、ITがわからない人でも簡単に使えます。

5. まとめ

これまでは業務フローにおける帳簿の利活用について説明してきましたが、新しい情報を提供できているならば幸いです。

業務フローの帳簿において必要な情報は、業務遂行者情報、承認者情報とその業務に付随する簡単な内容でまとめることができます。これにより得られるメリットは見える化によって改善される業務効率性、そして実際のデータを踏まえた意思決定と判断で、要するにあなたの企業の競争力を向上させます。

最後に導入と運用にあたって幾つかの課題も紹介しましたが、どれもある程度自動化手法によって解決されます。

この情報をもとに業務フローの帳簿でビジネス改善に取り組みましょう!